たくよ〜警察官やめたってよ!後編

 

たくよ〜警察官やめたってよ!中編
警察学校での話、中編です。 1ヶ月外に出られない閉鎖された空間で孤立。 正直死んでもいいと思いました。

 

「コンコンッ」

部屋のドアをノックする音。

 

「入るぞ〜」

そこには、担当教官の姿が。

 

夜遅くに教官が寮を訪ねてくることは、

今までありませんでした。

 

「部屋は…綺麗にしてるな」

「おっ、『道は開ける』か。この本は俺も持ってるぞ・・・」

そんなたわいもない話をしました。

 

(また、なにか叱られるんだろうか)

そう思っていると。

 

「たくよ〜調子はどうだ?」

そんなことを聞いてくるのは初めてでした。

そして唐突に、

「辞めたいと思ってるだろ?」

 

「えっ?」

 

「俺が何年教官やってると思ってる」

 

「・・・」

 

黙っていると。

 

「俺もな・・・」

「俺も警察学校時代は辛かったぞ」

「何も分からなくて、教官に叱られてばっかりでな」

「必死に食らいついていったもんだ」

 

「ただ…学校を卒業して配属されてからが一番辛くてな…」

「警察官は色々あるだろう?」

 

「・・・毎日泣いたよ」

いつにない優しい声でした。

 

「お前は今、毎日ミスばかりしてるけど…」

「叱りつけられてばかりいるけどな…」

「でもな、普段は厳しい顔しか見せない教官達はみんな…」

「『たくよ〜頑張ってるなぁ』って言ってるんだぞ」

「あいつ根性あるなって・・・」

 

「ちゃんとお前のこと評価してるよ」

 

ここに入って初めて、

人の温かさを感じました。

そして入校当初から張り詰めていた糸が切れた瞬間でした。

 

「泣け。泣け。」

 

「泣いて全部出せ。」

 

そういって、

『ゴツい大きな手』

僕の背中をポンポンッと叩きました。

 

 

「ただ、普段は泣いちゃダメだぞ」

そう笑いながら励ましてくれました。

 

 

・・・少し経ってから、

「明日から頑張れるか?」

と聞いてきました。

 

僕が小さく何度も頷くと、

「ヨシっ!!」

そう言って今度は強く背中を叩きました。

 

 

後から聞いた話によると、

母親と担当教官の奥さんが偶然にも友人関係でした。

この前日に公衆電話(携帯電話は入校時教官に預けます)で母親と話をした際、僕が元気がない様子だったので心配して奥さんに相談したそうです。

それを聞いた教官がわざわざ部屋に来てくれたのでした。

 

 

しかし、その日から数日後

『退職の意』

を担当教官に伝えることになります。

 

 

教官に励まされもう少し頑張ろうと思いましたが、

周りに迷惑をかけ続けることに、

申し訳ない気持ちがいっぱいで精神的に限界を迎えていたのでした。

 

「以前通っていた心療内科で薬をもらいたい」

そういうと教官は、

「薬をもらうとなれば上に報告しないといけない」

「拳銃を扱うことは許されなくなる」

「これはどういう意味か分かるか?」

 

そう聞かれ、深く僕は頷きました。

 

教官は、

「分かった・・・。」

そう言い残し部屋をでていきました。

 

そしてその一週間後学校で退職手続きをし、

僕は警察官を辞めました。

 

 

 

 

前話で、

「警察官を志しているやつがすることかよ」

と書きました。

 

正直、警察官に

『志』

なんてものは必要ありません。

 

実際に求められるものは、

 

『ある程度の能力』

 

『指示に対する忠実さ』

 

 

『理不尽なことに耐えうる精神力』

が必要なのです。

 

集団組織において、

一人でも能力が低い者がいれば、

そこが欠点となり、

組織にほころびが生じる恐れがあります。

 

大勢の市民の安全を守り、

そして強い組織を保つためには、

能力・精神力が低い者が居てはならない。

仕方のないことです。

 

そして組織に見合う人間を育てる場所が、

『警察学校』

なのです。

 

そこにはいろんな人が集まります。

正義感が強い者。

人のためになりたいと思う者。

公務員になりたかった者。

なんとなく、なった者。

 

みんな必死です。

 

そんな厳しい中、

足を引っ張るやつが

いれば腹が立ちます。

 

そいつのミスで、

自分が辛い思いをするのならなおさらです。

ある人達は、そういったものを

・・・排除しようとします。

 

そしてその人間は孤立していきます。

 

組織では孤立すれば、

生き残るのは難しいのです。

 

 

僕の好きな漫画の中での、

有名なセリフがあります。

『強ければ生き弱ければ死ぬ』

 

まさに警察は、

その通りだと思います。

 

いや、警察ではなく、

この世の中がそうなのです。

 

 

PATMという体質も。

PATMが気になって集中できないという言い訳も、

それは僕が勝手に背負ったことなので、

自分で乗り越えなければならないのです。

そんな私情は周りには関係ないのです。

 

警察官としてやっていけるか。

本当は試験を受ける前に、

もっと考えなければいけなかったと思います。

安易に給料や安定、評判で決めるべきではなかったのです。

特に警察という特殊な職業では。

 

すべては自分の責任です。

 

 

 

 

日本で安全に暮らしていけるのは、

警察が優秀だからです。

警察官に憧れている人は是非なってください。

想像しなかった辛いこともあるだろうし、

生半可な気持ちでは務まらないと思うけど。

やりがいはあると思います。

 

ただ、

『PATM』

の人には警察官はオススメしません。

 

僕はやりがいを感じる前にやめました。

本当はもっと続けたかった。

でも、今はやめてよかったと思います。

 

後悔はしていません。

 

今はそう思えます・・・。

 

 

 

そういえば警察をやめた直後に友人の結婚式に参加したんです。

そこで友人がその父親に言ってたなぁ。

 

 

 

 

「たくよ〜警察官やめたってよ!!」

 

 

 

 

つづく

 

医者みんなPATM全否定の話
今までに心療内科、内科、皮膚科、耳鼻科、6人の医者にPATMの相談をしましたがほぼスルーですね。医学的にはありえないことらしいです。

 

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