
パチンコ屋で働きはじめ少し経った頃、
今は無き『某コンビニ店』でもバイトをはじめました。
週3〜4回、22時から早朝4時まで6時間。
時給は980円でした。
ちょうど僕が勤め始めた頃、近隣のコンビニに夜中強盗が入り、店長が殺害されるという痛ましい事件が起きました。
未だに犯人は捕まっておらず当時、近隣住民は恐怖にふるえていました。
うちのオーナーからは、
「たくよ〜くん!気をつけてね!」
「なにかあったらすぐに私に言うんだよ」
と毎出勤時に心強い言葉をいただきました。
そしてすぐにレジ裏にある事務所兼ロッカー室に引っ込み、おもむろに椅子に腰掛け両腕を組むと数分で、
“のけ反るように爆睡”
するのがいつものお決まりでした。
コンビニは基本的に二人体制のところが多いとは思いますが、そこでは人件費削減のためか僕一人でのワンオペ。
オーナーは裏で寝てるので、名ばかりの二人体制になっていました(もちろんヘルプ用の呼出ボタンを押せば助けにきます)。
当初は「おいおい…」と思いましたが、『夜はオーナー』、『昼はオーナーの奥さん』がお店に入れ替わり立ち替わりで入っていました。
脱サラしてからの夫婦揃っての出発…
「コンビニ経営を始めてから5年ほど休みがない」
「そうでもしないと稼げない」
もう後には引けないという思いを度々口にしていました。
その話で同情的な気持ちになり、それとともにコンビニ業界の世知辛さを感じました。
まあ自分にとっても、一人のほうがPATMが気にならずよかったのですが・・・。
仕事内容はレジ、清掃、品出し、ゴミ出し、etc…。
コンビニ…しかも夜中となると楽な仕事だと思われがちですが、まったくと言っていいほど暇な時間はありませんでした。
しかも、一人なので常にレジ周りのお客さんを意識しながら作業しなくてはいけません。忙しさでいえばこれまでのアルバイトの中で一番だったと思います。
そんな中、賞味期限切れかけの惣菜パンを持って帰れるのは唯一の楽しみでした。(本当はその場で食べなければいけなかったのですが、黙って持って帰ってました。ごめんなさい…。)
結構、忙しいんで色々やらかしたこともありました。
『タルタルソース事件』
お弁当をレンジで温める際、付属タイプのソースは一緒に入れると爆発して飛び散ってしまうのでソースだけ取り出してレンジの前面に貼り付けます(一度爆発させたことありますが・・・)。
ある日、突然電話がかかってきました。
たくよ〜「ありがとうございます。サー●●K、○○店です。」
男「ぅおいっ!△◎¥×$らぁ!!」
「!?」
「すみません、聞き取りにくいんですが…」
「お、おれのチキン南蛮弁当どうしてくれるんじゃぁ!?」
「!?」
「どういうことでしょうか?」
「たるたるが…タルタルが付いてないんじゃ!!」
「!?」
(そういえば、30分ほど前チキン南蛮弁当買ってった人いたよな)
(ん?まさかっ?)
おそるおそる、レンジのほうを振り向くと・・・。
「!!!」
張り付いたままのタルタルソースがそこに。
「申し訳ありません!!」
「お前、謝って済む問題じゃねえ!持ってこいや!」
「!!」
たしかにそうです・・・。
チキン南蛮にはタルタルは必須です。
タルタルのないチキン南蛮なんて、
『夏休みのない8月のよう』
タルタルのいないチキン南蛮など、
『笑うことのないサンタのよう』
なくらい、なくてはならないものです。
「失礼ですが、今どちらにいらっしゃいますか?」
「○○○じゃ!すぐ来い!」
ここでオーナーに事情を説明。
すると一言。
オーナー「無理だね」
「・・・!?」
「車で30分以上かかるとこなんて無理。とりにきてもらって。」
「でもお客様がお怒りで・・・」
ここで電話をバトンタッチ。
最初はやんわり謝っていたオーナーも徐々にヒートアップしていき、最後には、
「無理なものは無理なんじゃああああ!!」
と絵に描いたような逆ギレ。
普段は温厚なんですが時折気性が激しくなることがあり過去には、ゴミだけ捨てて帰る人に激怒して出禁にするくらいでした(迷惑な客であることは間違いないですが・・・)。
結果タルタルは持っていくことも、取りにくることもなく、ほどなくしてゴミ箱の中へ捨てました。
『ヤンキーからの罵倒』
そのときはお客さんがタイミングよく重なり、レジが混雑していました。
運悪くオーナーが数分ほど外に出ていて店内には僕一人きり。
公共料金の収納やらで手間取り後ろのお客さんを待たせていました。
すると突然、
「おっせーんだよ!!」
と店内に響きわたる声。
20代後半くらい。明るい髪をした黒のスウェット姿の女性が列の最後尾からこちらを睨んでいました。
「申し訳ありません。少々お待ちください。」
そう口にして必死にさばき、ようやくその女性の番に。
その女性は鬼のような顔をしながら、また
女「おっせーんだよっ」
と酒やけしたような声で小さくつぶやきました。
「申し訳ありません。」
急いで商品をスキャンしていると、
「○○の○○!」
「はいっ!?」
「だからっ!○○の○○!!」
タバコだということはわかったのですが、
僕自身タバコを吸わないのと、コンビニで働き初めて間もないということでまだ完全に銘柄を覚えられていませんでした。
気づかってくれるお客さんになると銘柄の前に書いてある番号を言ってくれるので助かっていたのですが。
その時は少し焦っていることもあって選ぶのに時間がかかり、
「えーっと…」
といった感じで指でなぞって探していると。
「んなことも分かんねえのかよ!!」
激しくおののく、たくよ〜。
「そこんっあんだろそこによぉぉ!」
彼女はどうやらすでにタバコの場所を認識した様子。
「おい、早くしろよ!」
「おっせーな!!」
わかっていながら、こちらには教えようとしない。
「まじ、つかえねっっ!」
「・・・。」
(くっそがぁぁ!!)
オーナーが戻り、教えてくれるまでずっと罵声を浴びせてきて・・・。
ようやく選び出し会計を終わらせると、
「二度とこねーぞ!!」
レジを蹴って、お店をあとにしていきました。
「・・・。」
後に聞いた話では、その銘柄を女性は正式名ではなく略称名で言ってたみたいで、僕がすぐに理解できなかった理由が分かりました。
それを把握していなかったこと。そして二人体制でなかったことでお客様に迷惑をかけたことは、完全に僕とお店側の落ち度だと思います。
ただ100歩譲っても、あの女性の態度の悪さは度を越しているとしか思わざるを得ません。
ああいった輩(やから)にはなりたくないなと思いましたね。
なんやかんや色々あり、
そのコンビニは1年間くらい在籍して辞めました。
つづく

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