「マジ銀行無理っす」
牛乳屋の上司、『ニッシー先輩』に伝えたのは入社3年目のこと。
銀行へは週4回ほど行っていました。
配達先で集金してきた牛乳代金のお金を銀行口座へ入金しにいくのが僕のひとつのルーティンワークでした。
牛乳屋(だけとは限らないですが)の多くはアナログで、現金での支払いが多いです。
銀行口座からの引落としで支払いの人もいますが、年配の方は現金志向が強く口座引落としにしたがりません。
なので直接頂くか牛乳箱の中にお金を入れておいてもらう集金方法になります。(これを知ったからって泥棒しちゃダメだよ( ̄Д ̄)ノ)
キャッシュレス決済がもっと広まれば便利になるんですけどね。
で、銀行へ結構行ってたんですけど。
僕は昔から銀行のあの静かな雰囲気が苦手でした。
プラス、PATMになってなおさらダメになりましたが・・・
普段の生活ならATMしか利用しないのですが、
集金したお金となると小銭も札束も山ほどあるので窓口のほうで手続きする訳ですよ。
窓口は3つあってそれぞれ女性の方が担当していました。その日によってローテーションも代わるので5人くらいで回していたように思います。
銀行入金を任せられるようになって半年後のある日。
いつも通り銀行へいくと受付の女性の人達が一斉にマスクをし出すのが見えました。
「んっ?」
少し気になりましたが、たまたまかなと思いました。
ただ、それまでも受付の人達の反応がたびたびあったので、
「PATM…気づかれたかな?」
とも思いました。
次の日。
また、店内に入ると昨日と同じようにマスクをし始めました。
「むむむ・・・」
「これはやっぱり気づいているっぽい」
そして次に銀行へ行ったとき決定的な出来事が起こります。
店内に入って入金伝票を記入し、窓口前の椅子で順番を待っていました。
すると、小声で、
窓口A「ほらっ、ミル…」
窓口B「あっ…。ねぇ、ミル…来てる」
窓口C「…はっ!」
窓口の女性3人が案の定、準備していたかのように
『ささっと』マスクをし始めました。
「はぁ・・・声聞こえてるし…」
「やっぱりマスクつけ始めたよ・・・」
「完全に気づいてんじゃん( ;´Д`)」
「でも窓口Cさんの『ミル』って名前珍しいな…」
そんなことを、思っていたら
『窓口C』に呼ばれ、
いつも通りの対応で入金作業が終わりました。
窓口C「ありがとうございました」
たくよ〜「ありがとう」
店内を出ようとすると、
また小声で、
窓口C「Bちゃん。『ミル』帰るよ」
(ん?えっ??)
(あなたが『ミル』じゃないの?)
(帰るよ。って・・・?)
「…って!俺のことかいっ!」
「なんかコードネームみたいなのつけられてるやん!」
「なんやねん、ミルって」
そんなことをつぶやきながら銀行を出ました。
銀行からの帰り道。
迷探偵『たくよ〜』の推理が始まりました。
※名探偵コ◯ン、推理中のBGMを聴きながら
たくよ〜
「あの人達が持っている情報は」
- 『私の名前』
- 『牛乳屋さん』
- 『入金額と口座情報』
「やはり、コードネームということは」
「私の名前をもじって・・・」
コ◯ンくん
「あっれれ〜?」
「おっかし〜な〜」
「牛乳って他にも言い方があるでしょ〜」
「でもあまりその呼び方はしないよねっ♪」
「だって〜ぼくたち・・・」
「日本人だからね・・・」
( ・`ー・´)キリッ
た「・・・ぬぁ〜?」
「待てよ〜」
「そうかぁ!」
「この事件アルファベットを使うんです〜!」
目暮◯部「アルファベット〜〜!?」
コ「…いいぞ、おっちゃん」
た「牛乳をアルファベットに直すと…」
「M・I・L・K」
「つなげて読むと…そう!『ミルク』!」
「だが犯人達はそのまま読むことに恐れを抱いた…」
目「どうしてなんだ。たくよ〜くん」
た「警部殿ぉ〜」
「そのまま読めば安直に『牛乳』であることを指し示してしまうんですぅ」
「そうなれば、お客様である私に気づかれてしまう可能性がでてきてしまう・・・」
「もし、お客様のことをバカにしたとなれば、信用第一の銀行業では死活問題だぁ」
「だぁかぁらっ!」
「彼女達は自分達しか分からない共通の言語を使ったのです!」
目「でも、どうして『ミル』なんだぁ?」
た「ぁあ、まあ〜…」
「さしずめ、時間を取るほどの話題ではなかったのでしょう」
「やっつけ仕事のように『エイッ』と窓口Cあたりが決めたのではないのでしょうかねぇ。」
「 『ク』さえ取れば‘‘あのバカ’’には分かんねえだろ。 って感じで」
目「なるほどぉ」
た「昨今の銀行業界は非常に厳しい。人員削減に乗り出すメガバンクばかりです」
「そんな中、地方の銀行、ましてや窓口業務に対する彼女達のリストラへの不安が恐怖心を募らせ、今回の事件を生み出したのでしょう」
「恐怖心から八つ当たりへと変わった・・・皮肉な事件ですぅ」
目「でかしたぞぉ、たくよ〜くん!」
コ「やっぱりおじさんすごいね♪♪」
「さすが『PATMのたくよ〜』だぁ♪」
た「がぁっはっはっはっはっは」
「がぁはっはっはっは」
「っはっは…はあ・・・」
おそらくこんな感じです。
その後も、銀行へ行くたび同じようなことがありました。
非常に行きづらくなったので『ニッシー先輩』に入金業務を代わってもらえないか相談しました。
そしたら、
「なんやぁ?あそこに元カノでもおるんか?」
「はは〜ん、それで気まずいんやろ」
と聞かれ、
「YES」
と嘘をついて、他店舗で入金することの了解を得ました。
それからは、配達時間や営業の時間を使って、その他のいろんな店舗での入金を行うことにしたのでした。
た「はあっ…銀行アレルギーだわ」
銀行「バーロ、お互いさまだろ」
た「トホホホ・・・」
つづく
鳥取コナン空港の駐車場、『蘭ちゃん』のエリアに車とめたよ
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