熟女マダムにマルチ商法にハメられた!話(前編)

 

牛乳屋になって2年。

仕事にも慣れてきた頃でした。

いつも通り午前中の配達業務を終え、午後からの営業の準備をしていました。

「4日前に行ったあの『マダム』、話した感触よかったから契約とれるかもな…」

そんな事を思いながら車に乗り込みました。

 

…その4日前。

とある町で、牛乳サンプル(試供品)を一軒ずつ配って回りました。その町はあまり活気がなく寂れていて、お世辞にもお金を持っている人がいなさそうな印象でした。

ところが一軒だけ、新しい大きな家がありました。ガレージには高級外車が止まっていて、

「この町に似つかわしくない家だな」

そう印象を受けました。

 

 

インターホンを押し、

「〇〇牛乳です。今この町でサンプルを配らせて…」

と決まり文句で説明した後、玄関の扉が開きました。

そこには小柄で小綺麗な50歳くらいの『マダム』が立っていました。

 

 

「私、このヨーグルト気になってたのよ」

そうマダムは言い、すんなりサンプルを受け取って貰いました。

 

 

そして話は4日後に戻ります。

マダム宅に着きインターホンを押すと、笑顔でそのマダムは出迎えてくれました。

「待ってたのよ♡」

そんなことを言う人も珍しいので、よっぽどヨーグルトを気に入ってくれたんだなと思ったものです。

予想通り契約成立となりました。

注意事項などひと通りの説明が終わった後、雑談になりました。

いくつか何気ない世間話をしたあと、

マダム「牛乳屋さんていくら位の給料なの?」

と質問してきました。

たくよ〜「ん〜全然低いですよ」

 

「そうなの。大変なお仕事なのにねぇ」

 

「そういえば…今お料理作ったばかりなの♪」

「もしよければ食べていかない?」

その言葉に対して少し戸惑いましたが、

(いい人そうだし。金持ちだろうからどんな生活をしているのか興味があるな。お腹も空いてるし。)

ということでお邪魔することにしました。

 

二階のキッチンダイニングがある部屋へ入ると、そのマダムより少し『格』が下がった感じの5人の『小マダム』達がいました。

小マダム「ユーコさん遅い〜!」

小マダム達は一斉に、そう口にしました。

 

 

「あら〜ゴメンねーみんな♡」

「あっ、こちらは牛乳屋さん。ヨーグルトとったのよ」

「えっっと…なまえは…」

「たくよ〜です」

「じゃあたくちゃんね♪」

「私のことは『ユーコさん』って呼んで」

「みんな、よかったらたくちゃんから牛乳とってあげてね♪」

「はーい♪たくちゃん、よろしく♪」

 

小マダムたちは、そう言いながら机にならんだ美味しそうな料理を食べ始めようとしていました。

「ほら、たくちゃんも食べてって♪」

そう言って椅子に座らされました。

小マダム達とご飯を食べながら話をしていると、ふと、台所に置かれた色んな家電やキッチン用品に目が止まります。

(ん?あまり見たことないのばかりだな…)

(やっぱり金持ちは人と違うもの使ってんだな…)

気になったのでどこのメーカーかユーコさんに尋ねると、

 

「◯◯◯◯よ」

 

 

(・・・!!?)

 

せ、世間知らずの、

お、おれでも聞いたことあるぞ・・・。

マルチ(ネットワークビジネス)で有名なやつだ!

合コンやホームパーティーに誘われて行ったら、

「カレー美味しいでしょ♪この使ってるの♡」

「水道水、ペットボトルはだめ!この浄水器がいいのよ♡」

とか、言って色々買わされるやつ。

 

しまいには上手いことそそのかされて、

親と子という契りを交わしてネットワークに組み入れられるやつやないか!!

 

 

はっ!?

 

まさか、さっきの「待ってたのよ♡」って…

『ネズミ捕りにひっかかる俺』

を待っていたって意味か!?

 

ということは、ここで俺を取り囲んでいる『“小”マダム』達は

まさに・・・

“子”マダム』

マダムの操り人形という訳なんだな・・・

 

「くっ、ハメられた」

 

マダム達が仕掛けた網にまんまと引っかかった僕は、脳内でこの状況をどう打開して逃げ切るか考えていました。

 

しかし、ここでユーコさんが思わぬことを口にします。

 

「私、◯◯◯◯の活動もうしてないのよね」

 

その言葉を聞いて少しホッと胸を撫で下ろしました。

 

しかし、ユーコさんは続けて、

「今ちょうど新しいビジネスを始めたのよ」

「たくちゃんは副業とか興味ある?」

そう聞いてきました。

 

その当時、ちょうど

『金持ち父さん・貧乏父さん』

という本を読んでいたので副業や投資に興味を持ち始めた時期でした。働かずに収入を得る『不労所得』の大切さを語った本でした。

働いても働いても資産が貯まらない状態から抜け出すべきだと。

「不労所得さえあれば外で働いてPATMで嫌な思いもすることがない。うちで閉じこもることができる」と本気で考えていました。

「マルチの◯◯◯◯じゃないのなら…少し気になるなぁ…」

 

「来週、そのビジネスの話し合いがウチであるんだけど、よかったら来ない?」

「・・・んんっ」

牛乳屋のお客様であること、どんな副業ビジネスか少し気になること・・・この2点で断るのを躊躇っていると、

「来てくれたらヨーグルトの契約本数増やすし、ここにいるみんなも牛乳とってくれるかもよ♪」

その一言で渋々了承し、話を聞く約束をしたのでした。

 

 

 

つづく

※僕の考えではマルチ(ネットワークビジネス)の会社の商品は良さそうなので使う分にはいいと思います。ただ、しつこい勧誘をする人には否定的な見方です。

 

熟女マダムにマルチ商法にハメられた!話(中編)
「新しいビジネスってなんなんだ?」マダム宅へ再度訪問。そこにはまたしても小マダム達の姿が。パソコンには怪しげな人達が映しだされ、狂気に満ちた盛り上がり。「いったいなんなんだ!?」そこには世界を席巻するといわれるビジネスが。

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